士業が電子契約サービスに求める3つの専門基準

士業にとって、電子契約は法的リスクを伴うため、低コストであること以上に、以下の専門的な基準を満たすことが必須です。

• 基準1：法的有効性の確保： 電子署名法に基づき、契約の真正性が担保されること。特にタイムスタンプ機能の有無。
• 基準2：セキュリティと証拠力： ISO 27001などのセキュリティ認証を取得しているか、そして原本性の確保に足る監査証跡（ログ）が保存されるか。
• 基準3：印紙税のコスト削減： 印紙税が非課税となる電子契約のメリットを享受できるか。

このデジタル化戦略は、紙代・郵送費のコスト削減だけでなく、契約締結スピードの向上という生産性にも直結します。

【電子署名の種類】当事者型 vs 事業者型：士業の選定ポイント

電子署名には大きく分けて当事者型と事業者型があり、士業が取り扱う契約の種類によって最適な方式が異なります。

当事者型（電子証明書を使用）

• 特徴： 署名者（士業やクライアント）本人が電子証明書（マイナンバーカードなど）を取得し、署名する方式。
• メリット： 法的証拠力が非常に高い。高額な契約や、特に法的確実性を要する契約（例：重要な顧問契約）に適する。
• デメリット： クライアント側の導入ハードルが高い。

事業者型（クラウド署名）

• 特徴： サービス提供事業者自身が署名し、メール認証などを用いて本人の意思を確認する方式。
• メリット： クライアント側の負担が極めて低いため、導入がスムーズ。低コストなプランが多い。
• デメリット： 高額な訴訟リスクを伴う契約では、裁判時の証拠力が当事者型に劣る可能性がある（ただし、実務上は十分な証拠力があるとされるケースが多い）。

税理士・会計士の顧問契約であれば、事業者型の低コストで導入しやすいサービスを選ぶことで費用対効果を最大化できます。